事務所便り

2025年12月号

● 令和7年分 年末調整のポイント

 今年も年末調整の時期が近づいてきました。今年は、所得税の基礎控除や給与所得控除に関する見直し、特定親族特別控除の創設が行われています。扶養親族の所得要件の改正や、令和8年1月以降の源泉徴収事務に変更がありますので、注意したいポイントを確認します。

◆ 年末調整の流れ
 年末調整の基本的な流れを下図に示します。
 まず、社員に対して令和7年中に毎月支払った給与や賞与(以下「給与等」)と、天引した社会保険料や源泉徴収税額を集計します。
 給与所得控除後の給与等の金額を計算した後、社員から提出された各種申告書の内容を基に、所得控除の額(下表1参照)と課税所得金額を計算します。課税所得金額に所得税率を乗じて年調所得税額を算出し、さらに年調所得税額に102.1%を乗じて年調年税額を計算します。
 年調年税額と1年間の源泉徴収税額を比較し、過不足額の精算を行います。

◆ 基礎控除・給与所得控除の見直し 
 基礎控除は従来、合計所得金額が2400万円以下の場合は一律で48万円で、2400万円超2500万円以下の場合は段階的に控除額が減少し、2500万円超の場合は適用がありませんでした。これが下表2のとおり、合計所得金額に応じて基礎控除額が改正されました。なお、非居住者は控除額が異なりますので、ご注意ください。
 基礎控除の改正に伴い、扶養親族・同一生計配偶者・ひとり親の生計を一にする子・配偶者特別控除の対象となる配偶者・勤労学生の所得要件も改正されていますのでご注意ください。
 給与所得控除については、最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。今回の年末調整では、改正後の「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」に基づいて計算を進めることになります。

◆ 特定親族特別控除の創設
 令和7年度の税制改正で、居住者が特定親族を有する場合には、その居住者の総所得金額等から、その特定親族1人につき、その特定親族の合計所得金額に応じて63万円(下表3参照)を控除する特定親族特別控除が創設されました。
 特定親族とは、居住者と生計を一にする年齢19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が58万円超123万円以下の人をいいます。ただしこの場合の親族は、里子を含み、配偶者や青色事業専従者として給与の支払いを受ける人及び白色事業専従者を除きます(以下同じ)。また、親族の合計所得金額が58万円以下の場合は特定親族特別控除の対象ではなく、扶養控除の対象になります。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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