事務所便り

2025年11月号

● 路線価図を調べよう!

 土地の価格を示す基準として「路線価」という指標が用いられます。土地を価格を示す指標には様々なものがありますが、国税庁から公表される路線価は、相続や贈与によって土地を取得したときに、その土地の評価額の算定基準となるものです。毎年7月1日に、その年分の路線価の額が公表されます。

 今回は、相続税や贈与税の額を算定する際の基準となる「相続税路線価」(以下「路線価」)について、路線価図の見方や路線価に基づいた土地評価額の算出方法をみていきます。

1 路線価とは?
 路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1㎡当たりの価額(千円単位で表示)を表しています。その年の1月1日から12月31日までの間に相続、又は贈与で土地の取得をした場合に、その年の7月1日に発表された路線価を適用します。
2 路線価図の見方
 路線価は国税庁ホームページの「路線価図・評価倍率表」から確認することができます。探したい土地(評価対象地)の特定方法は、路線価を確認したい年分→評価対象地が所在する都道府県→市区町村→町丁名、の順に項目をクリックします。
 評価対象地を特定できたら、評価対象地に接している道路に設定されている路線価の金額を確認します。このとき、路線価図の上部欄外には評価対象地が所在する地域の「地区区分」と「借地権割合」が記載されていますので、これらも確認します。
 路線価の金額や地区区分として示される記号、借地権割合として示される記号の意味は【下図】のとおりです。
なお、路線価が設定されていない地域に評価対象地が所在する場合は、その市区町村の「評価倍率表」を参照します。評価対象地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じることで、評価額を算出することができます。

3 路線価に基づく土地評価額の算出方法 
 評価対象地の評価額は路線価に地積をを乗じることで算出します。評価対象地の路線価の額が15万円、地積が100㎡であれば、15万円×100㎡=1500万円と評価額の概算を算出することができます。
 なお、実際の相続税評価額は評価対象地の形状や接する路線によって、「奥行価格補正率」などの各種補正率をを乗じて算出します。各種補正率を適用すればより正確な評価額を算出できますが、複雑な計算等が必要となりますので、専門家に相談することをお勧めします。

4 路線価を確認する際にの注意事項
♦適用年分に注意!
 路線価は、その年の1月1日時点の地価公示価格や専門家の意見などを反映させて決定されます。したがって、同じ評価対象地でも年分により路線価の額が異なる場合があります。
 年分の選択を誤って路線価図を参照すると、評価額に思わぬ差が生じます。路線価図の右上に、その路線価図の対象年分が記載されていますので、参照している路線価図の年分に誤りがないか最初に確認しましょう。
♦土地所在地の特定に注意!
 公図と異なり、路線価図には土地の登記簿上の地番の記載がなく、路線価図だけでは評価対象地の所在地が明確に特定できないことがあります。
 道路の形状や近所の目的物を確認したり、場合によっては公図や住宅地図と照合して、評価対象地を特定しましょう。
♦地区区分の適用に注意!
 地区区分には、同じ道路沿いでも、交差点から先は「中小工場地区」、手前は「普通住宅地区」といった場合や、道路北側が「普通住宅地区」、南側が「普通商業・併用住宅地区」といった場合もあります。地区区分により
適用される補正率が異なりますので、適用範囲を正確に把握しましょう。
♦借地権割合の記号にも注意!
 借地権割合を示すA~Gの記号も重要です。適用を誤ると、借りている土地や貸している土地の評価額の算出に誤りが生じる可能性があります。

5 まとめ
 路線価は土地取引の指標となる公示価格(地価公示価格)の8割程度を目途に定められており、所有不動産の価格を算出する際の参考指標としても幅広く用いられています。相続税等の税金対策だけではなく、不動産売買や投資の際の参考資料としても有効活用が可能です。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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