事務所便り

2018年 9月号

●平成30年度 税制改正における中小企業に関する主な改正項目

  平成30年度税制改正では、資産税で話題となるものが多くありますが、中小企業等にとつて知っておきたい項目の創設や見直し等もありますので、以下、整理してみます。


1 所得拡大促進税制の見直し
(1)制度の趣旨
 従業員にとって、給与等が増えることは一番の喜びです。また、企業にとっても従業員が給与等の増加により、これまで以上に意欲的に仕事に取り組んでくれることで、企業利益にも大きな影響を与えることができます。
 平成30年度税制改正では、持続的な賃上げを促す観点から、賃上げの一定割合について減税する措置の見直し(給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の法人税額の特別控除の整備)が図られました(図表1)。

(2)制度の概要

○ 要件等
 青色申告書を提出する中小企業者等が、国内雇用者(役員やその親族は除かれます)に対して給与等を支給する場合において、継続雇用者給与等の支給額が前年の継続雇用者給与等の支給額に対し1.5%以上増加したときは、給与等支給増加額の15%の税額控除ができます。
 すなわち、前事業年度から当事業年度まで継続雇用している従業員に対して支給した給与等の合計額が対前年比1.5%増であれば増加した給与等の合計額の15%が減税されることになります。
○ 上乗せ措置
 さらに高い賃上げ(2.5%以上)を行い、かつ、教育訓練費等の増加(1.1倍)等の要件を満たす場合には、減税額も10%増加します。前期に教育訓練費がゼロであっても当期に教育訓練費を支出していれば、上乗せ措置の適用が可能ですので、従業員の給与等を2.5%以上増加と教育訓練費の支出により、さらなる減税が可能となります。
○ 適用期日
 平成30年4月1日から平成33年3月31日までに開始する各事業年度。

2.中小企業の設備投資に係る固定資産税特例措置の創設
 中小企業の生産性革命の実現に向け、生産性向上特別措置法において市町村の認定を受けた中小企業者等の生産や販売活動に使用されるなどの以下の要件を満たす一定の機械装置や器具備品などについて、固定資産税の課税標準を3年間、市町村の定めによりゼロから2分の1までの範囲で軽減する措置が講じられています。
○ 適用要件
①中小企業が商工会議所等と連携して策定・申請した新規設備投資に係る計画が、市町村等が策定した導入促進基本計画に合致又は認定されること
②導入により、労働生産性が年平均3%以上向上する設備投資であること
③生産・販売活動等の用に供される、企業の収益向上に直接つながる新たな設備投資であること(単純な更新投資は除かれます)
○ 対象設備
 生産性向上に資する指標が旧モデル比で年平均1%以上向上する次の設備
 ●機械装置(最低取得価格160万円以上/販売開始時期10年以内)
 ●測定工具及び検査工具(同30万円以上/同5年以内)
 ●器具備品(同30万円以上/同6年以内)
 ●建物付属設備(同60万円以上/同14年以内)
○ 適用期日
 生産性向上特別措置法の施行日(平成30年6月6日)から33年3月31日まで。
 
3.交際費課税の特例延長
 交際費等の損金不算入制度及び交際費等となる飲食費の50%(中小法人の場合は交際費のうち800万円までのいずれか)損金算入を認める特例措置の適用期限が、平成32年3月31日までに開始する事業年度まで2年延長されました。

4.少額減価償却資産の即時償却の延長
 中小企業者等が取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した際に、一定の要件の下で合計300万円まで全額損金算入(即時償却)を認める「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」措置の適用期限が2年延長(平成32年3月31日までに取得等をして事業の用に供した資産について適用)されました。

5.法人税申告書等の代表者及び経理担当者の自署押印制度の廃止
 申告手続きの電子化促進のための環境整備として、法人税、地方法人税、法人事業税及び地方法人特別税の申告書について代表者及び経理責任者等の自署押印制度が、平成30年4月決算法人から廃止されています。

6.不動産の譲渡に関する契約書等に係る印紙税の税率の特別措置
 印紙税法別表第一代一号文書の不動産の譲渡に関する契約書及び同表第二号文書の建設工事請負契約書の印紙税軽減に係る特別措置の適用期限が、平成32年3月31日まで2年間延長されました(図表2)。

(注)上記算式により計算した規模格差補正率は、小数点以下2位未満を切り捨てる。算式中の「B」及び「C」は、地積規模の大きな宅地の所在する地域に応じて、それぞれ次に掲げる図表1のとおりです。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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