事務所便り

2022年 6月号

●資産税関係にまつわるQ&A【譲渡所得税・相続税】

 テレビや雑誌で高齢者関係の資産の話題が多いようですが、これまで以上に資産税関係(譲渡所得、相続、贈
与税)の相談も増えているようです。

      そこで、今回身近な問題を取り上げ、ポイントを簡単に整理してみます。

Ⅰ 譲渡所得税関係
1 譲渡所得の収入金額
Q 
所有していた土地を5000万円で譲渡しました。その際、未経過固定資産税等を8万5千円受け取り、租税公課の
 マイナスとして処理しています。何か問題ありますか。
 固定資産税等は、その年の1月1日現在の所有者が4月から翌年3月までの1年分を負担します。
 そして、商習慣から期間按分して精算することが実務上よく行われていますが、この金額は譲渡対価としての収入金額
 に算入しなければなりません。
  なお、補償金、取壊費用、造成負担金、測量による精算金などの名目で受け取った金額があれば、これらについても
 譲渡所得の収入金額とされます。

2 合計所得金額による判定
Q 令和3年中に自宅を譲渡しましたが、居住用財産を売却した場合の3000万円の控除の特例を適用したところ課税
 分離譲渡所得金額が0円(特別控除前の所得金額2800万円)であったため、基礎控除を適用しました。
  この後、問題が生じることはありますか。
 合計所得金額は、分離課税の譲渡所得については特別控除前の金額により判定します。したがって、合計所得金額
 2800万円となり、基礎控除の適用はありません。
  なお、次の諸控除については、合計所得金額に制限があるため適用に注意が必要です。
  ① 寡婦・ひとり親控除…500万円以下
  ② 配偶者控除及び配偶者特別控除…1000万円以下
  ③ 基礎控除…2500万円以下
  ④ 住宅借入金等特別控除…3000万円(令和4年1月1日以後は2000万円)以下である年のみ適用

3 重複適用できない特例
Q 令和2年に自宅を譲渡し、居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除を適用して申告しました。
  その後、令和3年に新たに自宅を取得して居住を開始し、令和3年分の確定申告で住宅借入金等特別控除を適用して
 申告しましたが、問題はないでしょうか。
 租税特別措置法は、重複して適用できないことがありますので、適用を受けるには注意が必要です。
  特に譲渡所得の特別控除と住宅借入金等特別控除は、資金の流れから関係性が深く、誤りやすいとこなので十分な注
 意が必要です。
  新築等をした家屋を居住の用に供した個人が、下記の期間において、その家屋以外の家屋(それまで居住していた家
 屋など)について、居住用財産の譲渡の特例の適用を受けている又は受ける場合には、その者の居住年以後の各年分に
 ついて、住宅借入金等特別控除を適用できません。
 ※令和2年4月1日以後に譲渡した場合…その居住の用に供した年とその前2年・後3年の計6年間
  なお、ご質問のケースの場合、住宅ローン控除の方が有利と後で気づいた場合でも特別控除を受けない修正申告はで
 きず、住宅ローン控除の適用を取り消す修正申告をすることになります。

Ⅱ 相続税関係
1 遺産分割のやり直しと課税関係
Q 昨年父が亡くなり、相続人は母と子供が3人です。当初法定申告期限までに遺産分割協議を済ませて申告してありま
 す。しかし、最近になって長男が母の面倒を見ないと言い出したため、相続人間で話し合った遺産分割協議をやり直
 し、再配分することになりました。このような遺産分割のやり直しは課税上問題ありませんか。
 当初の遺産分割が法的に無効となる場合を除き、遺産分割のやり直しが行われた場合、税法では最初に取得した者に
 所有権がありますので、無償で移転した財産については、贈与税の課税対象となります。

2 未支給年金
Q 先日母が亡くなり遺産等を整理すると、生存中の期間に係る国民年金で、母の死亡日現在未支給のものがありました
 ので年金事務所に請求して、未支給分を一時金として受け取りました。この未支給分は、相続財産として相続税の課税
 財産になりますか。
 年金の受給者が死亡した場合において、未支給であった年金の支払いを遺族が受けた場合には、その年金は相続税の
 課税財産ではなく、その遺族の一時所得に該当するとされています。

3 名義預金
Q 本年3月に亡くなった父が、私の名義で預金をしていました。父が管理していた預金ですが、このような預金は相続
 財産の算定上どのように考えたら良いでしょうか。
 相続人名義の預金であったこと、その原資となった金員の出損者、その管理・運用の状況、贈与の事実の有無を総合
 的に勘案して預貯金の帰属を判断します。
  そして、名義を借りているだけで被相続人のものと判断されると「名義預金」として相続財産に計上する必要があり
 ます。

4 特別縁故者の取扱い
Q ボランティアのCさんは身寄りのない老人のお世話をしていました。老人には、相続人等がいないため、自分が亡く
 なったら財産をCさんにあげると言っていましたが、遺言はなく昨年亡くなりました。
  周囲の勧めもあって家庭裁判所に特別縁故者への相続財産の分与請求の申立てを行っていたところ、本年4月にその
 請求が認められ、相続財産の分与を受けられました。
  この場合、課税関係はどうなりますか。
 民法の特別縁故者に対する相続財産の分与の規定より相続財産の分与を受けた場合には、その分与を受けた者は、そ
 の分与を受けた財産を被相続人から遺贈により取得したものとみなされ、相続税の納税義務者となります。
  この場合、相続税は被相続人の法令に基づき計算され、課税される財産の価額は、その財産分与を受けた時の価額と
 なります。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

税務・会計の無料相談はこちら

※どんな些細なことでもご相談ください。

  • 事務所便り
  • 雑学ノート
  • 講演・執筆活動
  • セミナー案内
  • 所長のフォトブログ
  • Facebook
中小企業庁 経営革新等支援機関 “経営サポート
中小企業庁 “ちいさな企業”未来会議サポーター をしております。
第1期 登録アドバイザー