事務所便り

2020年 6月号

高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除特例

 事業者が、消費税の事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度の適用及び簡易課税制度を選択して申告することができません。
 この「高額特定資産」とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。また、調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、危惧及び備品、鉱業権その他の資産で消費税等を除いた税抜価格が100万円以上のものをいいます。
 この「高額特定資産」のうち、他の者との契約に基づき、またはその事業者の棚卸資産若しくは調整対象固定資産として、自ら建設等をしたものを「自己建設高特定資産」といいます。
 この自己建設高特定資産についても、建設等に要した仕入れ等の支払対価の額(事業者免税点制度及び簡易課税制度の適用を受けない課税期間において行った原材料及び経費に係るものに限り、消費税に相当する額を除く。)の累計額が1,000万円以上となった日の属する課税期間の翌課税期間から当該建設等が完了した日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間においては、事業者免税点制度の適用及び簡易課税制度を選択して申告することができません。

消費税軽減税率 日当等の取扱い
 
従業員等が出張する際に、旅費規程等に基づいて、日当を支給することがあります。この日当のうち、その旅行について通常必要と認められる部分の金額は、課税仕入れに係る支払対価に該当します。日当は、場合によっては、飲食料品の購入などに充てられることもありますが、この場合、軽減税率の対象となるのでしょうか?
 この点、出張等に際して支給する日当は、仮に従業員等が軽減税率の適用対象となる「飲食料品の譲渡」に充てたとしても、事業者は「飲食料品の譲渡」の対価として支出するものでないことから、軽減税率の適用対象となりません。
 なお、従業員等が支出した実費について、事業者が従業員等から受領した領収書等を基に精算するもの(実費精算分)は、その支払いの事実に基づき適用税率を判定することとなります。

減価償却資産「事業の用に供した日」とは?
 
減価償却資産の減価償却は「事業の用に供した日」から開始します。
 この「事業の用に供した日」とは、一般的にはその減価償却資産のもつ属性に従って本来の目的のために使用を開始するに至った日をいいます。
 例えば、機械等を購入した場合は、機械を工場内への搬入・据え付け・試運転を完了した後、製品等の生産を開始した日が事業の用に供した日となります。
 なお、事業の用に供した日とは、資産を物理的に使用し始めた日のみをいうのではなく、例えば、賃貸マンションの場合には、建物が完成し、入居がなかったとしても、入居募集を始めていれば、事業の用に供したものと考えられます。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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