事務所便り

2012年 1月号

● 税 務  ― 還付申告のポイント ―

   
所得税の確定申告は、2月16日から3月15日とされていますが、これは申告義務のある場合であり、
  申告義務がない還付申告(医療費控除等がある場合)については、従来から1月より取り扱われています。
   平成23年度の税制改正により還付申告の範囲や年金申告が前年と変わっていますので、ポイントを整
  理してみます。

  1 申告手続きの改正点
   ① 公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、その年の年金以外の所得の金額が20万円以下
    の場合は、確定申告が不要となりました。
   ② 所得税の確定申告の義務がある者でも、還付申告となる場合には、その年の1月1日から提出でき
    ることになりました。

  2 還付申告ができる期間
    確定申告書を提出する義務はなくても、給与・報酬の源泉徴収税額や予定納税額などが納め過ぎにな
   っている場合は、その納め過ぎになっている税額の還付を受けるための確定申告書を提出することがで
   きます。
    還付申告ができるのは、その年の翌年1月1日から5年間です。
    なお、前年に確定申告をして納めた税額が、誤って過大であった場合には、還付申告ではなく「更正
   の請求」という手続きになります。
    更正の請求ができる期間は、原則として確定申告書の提出期限から1年以内です。

  3 還付申告の具体例
    給与所得者は、次のような場合に還付申告をすることができます。
    ① 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
    ② 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
    ③ 多額の医療費を支出したとき
    ④ 特定の寄附をしたとき
    ⑤ 配当所得があり、配当控除を受けるとき
    ⑥ 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
    ⑦ 特定支出控除の適用を受けるとき

  4 還付申告ができない場合の具体例
    次の所得の場合は、源泉徴収された所得税については、源泉分離課税となっていますので、確定申告
   により還付を受けることはできません。
    ① 銀行預金などの利子所得や投資信託の収益の分配等で一定のもの
    ② 特定の金融類似商品から生ずる所得
    ③ 特定の割引債の償還差益
    ④ 懸賞金付預貯金等の懸賞金等

  5 雑損控除
    自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族で走所得金額等が38万円以下の者の有する資
   産について災害・盗難・横領による損害を受けた場合には、所得から次のうちいずれか多い金額を控除
   できます。
    ① 「雑損控除の対象となる損失の金額(災害関連支出の金額を含む―受取保険金・損害賠償金等」
     ―損失が生じた分の総所得金額等×10%
    ② 災害関連支出の額―5万円
      ※損失の金額は、損失が生じたときの損失を受けた資産の時価を基準として計算されます。災害
       関連支出の金額とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出し
       た金額などです。

  6 医療費控除
   (1) 控除対象者
      本人に限らず、医療費を支払った時の現況において、生計を一にする配偶者その他の親族まで含
     まれます。
   (2) 控除金額
      医療費控除は、所得金額の5%か10万円のいずれか少ない金額を超える部分とされています。
   (3) 控除対象となる医療費の範囲
      主なものを下表にむ掲げていますので参考にしてください。
   (4) その他の注意点
      医療費とは、その年中に現実に支払った医療費をいいます。また、支払った医療費に消費税等の
     額が含まれている場合には、消費税等の額が医療費控除の対象となります。

医療費控除の対象となる医療費、ならない医療費の例
  医療費控除の対象となるもの 医療費控除の対象とならないもの




○ 医師に支払った診療費、治療費
○ 医師の往診費用
○ 治療のためのマッサージ、はり、おきゅう、柔道整復の費用
○ 異常がみつかり、治療を受けることになった場合の人間ドック
  の費用
× 医師等に支払う謝礼金
× ホクロをとるなどの美容整形費用
× 成人病の定期検診、人間ドックの
  費用
  (異常なしの場合)
× 食事療法のための食品の購入代
× 診断書の作成料
× 脱毛費用

○ 虫歯の治療費、金歯、義歯の費用
○ 治療としての歯科矯正
× 歯石除去のための費用
× 美容のための歯列矯正

○ 妊娠中の定期検診費用
○ 出産費用
○ 助産師による分娩介助料
× 無痛分娩講座の受講費用


○ 医師の処方箋により薬局で購入した医薬品
○ 病気やケガの治療のために、医者に行かず、薬局で購入
  した医薬品
× 疲労回復、健康増進、病気予防など
  のために購入した医薬品(ビタミン剤
  など)
× 薬局・薬店で買った体温計




○ 通院や入院のための交通費
○ 電車やバスでの移動が困難なため乗ったタクシー代
○ 保健師や付添人などの療養上の世話を受けるために
  支払った費用(親族に対するものを除く)
× 通院のための自家用車のガソリン代
× 出産のために実家に帰る交通費
× 自己の都合で希望する特別室の差
  額ベット料金など
       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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