事務所便り

2013年 8月号


   ● 税  務
 ― -教育資金の一括贈与に係る 贈与税の非課税制度 Q&A


     扶養義務者間(親子間等)で必要な都度支払われる教育資金は、今までも贈与税が非課税と
    されていましたが、教育については将来にわたり多額の資金が必要であり「一括贈与」を望む
    声が高くなっていました。
     また、高齢者世代の保有する資産の若い世代への移転を促進することにより、教育費の確保
    に苦心する子育て世代を支援するとともに経済活性化を促す目的から、平成25年度税制改正で
    教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が創設されました。
     以下、ポイントとなる事項をQ&A方式で整理してみます。

    Q1 制度の概要を教えて下さい。
      ① 直系尊属(父母や祖父母等)から、子・孫名義の金融機関の口座等に、教育資金を
        一括して拠出すれば、子・孫ごとに1,500万円までが非課税となります。学校等
        以外への支払は500万円までが限度です。
       ② 教育資金の使途は、金融機関が領収書等をチェックし、書類を保管します。
       ③ 平成25年4月1日から平成27年12月31日までの3年間の措置となっています。
       ④ 孫等が30歳に達する日に口座等は終了となります。

    Q2 教育資金とは、何ですか。
     (1)学校等に対して直接支払われる次のような金銭
       ① 入学金、授業料、入園料、保育料、施設設備費又は入学試験の検定料など
       ② 学用品等、修学旅行費、学校給食費など学校等における教育に伴って必要な費用など
       ※「学校等」とは
        イ 学校教育法上の幼稚園、小・中学校、高等学校、大学(院)、専修学校、各種学校
        ロ 一定の外国の教育施設
        ハ 認定こども園又は保育所など
      (2)学校等以外に対して支払われる次のような金銭で、社会通念上相当と認めら
        れるもの

       ① 役務提供又は指導を行う者(学習塾や水泳教室など)に直接支払われるもの
        イ 教育(学習塾、そろばんなど)に関する役務の提供や施設の使用料など
        ロ スポーツ(水泳、野球など)又は文化芸術に関する活動(ピアノ、絵画など)そ
         の他教養の向上のための活動に係る指導への対価など
        ハ イの役務提供又はロの指導で使用する物品の購入に要する金銭
       ② ①以外(物品の販売店など)に支払われるもの
         学校等の教育に伴って必要な費用であって、学校等が必要と認めた教科書、学校指
        定の制服、卒業アルバムなど

    Q3 学校等以外の者に支払われる金額は500万円までということですが、これは
       1,500
万円までの非課税枠に500万円を加えて、2,000万円まで非課
       税になるということですか。

      違います。非課税限度額の総額は1,500万円です。1,500万円の枠の中で、塾や
      習い事等の月謝等については500万円を上限に教育費に含めるという意味です。

    Q4 下宿代は非課税の対象でしょうか。
      対象とはなりません。ただし、学校等の寮費については、学校等に対して支払われたこ
      とが確認できれば対象になります。

    Q5 祖父母から孫へ贈与だけが対象なのですか。
      祖父母からだけではなく、直系尊属(例えば、曾祖父母、祖父母、父母等)からの贈与
      が対象となります。なお、養父母も含まれます。

    Q6 教育費の要件で「社会通念上認められるもの」とされていますが、どのような
       ものが
“社会通念上相当”として認められないのですか。
      教育のために支払われるものとして“社会通念上相当”でないものを網羅的に示すこと
      はできませんが、例えば、
      ・賭博やギャンブルに関するもの(麻雀やカジノの手法を教える教室)
      ・遊興・遊技を内容とする者(トランプ、ゲーム、手品、占い等を教える教室など)
      ・娯楽目的の鑑賞を行うことを目的とするもの
      等は、教育のために支払われる費用とはいえません。

    Q7 金融機関に提出する資料としては、領収書以外は認められないのですか。
      領収書のほか、支払い日付、金額、摘要(支払内容)、支払者(宛名)、支払先の氏名
      (名称)及び住所(所在地)が分かるものであれば、領収書の代わりとして認められる場
      合があります。
      ※ 学校等に対する支払の場合には、摘要(支払内容)については、受贈者が提出する以
       下の支払事実を証する書類に受贈者自身が支払内容を記載し、受贈者が署名押印するこ
       とにより、明らかにすることも可能です。
      〈指定金融機関へ振り込む場合〉
        振込依頼書兼受領書の原本が必要です。なお、①ATМで振込みをした場合は、AT
       Мの利用明細の原本、②インターネットバンキングで振込みをした場合は、インターネ
       ットバンキングの振込完了画面を印刷しておきます。
      〈口座振替で支払う場合〉
        実際に引き落とされたことが確認できる通帳のコピーが必要です。
 
       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

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