事務所便り

2017年 10月号

●平成29年度税制改正による「設備投資減税のポイント」

 平成29年度税制改正では、中小企業の設備投資減税について、次の制度が創設されました。

1 中小企業経営強化税制の創設
(1)従来との関係
 中小企業投資促進税制の上乗せ措置(生産性向上設備等に係る即時償却等)が中小企業経営強化税制として改組され、一定の器具備品及び建物附属設備が対象に追加されています。
(2)制度の概要
 青色申告書を提出する中小企業者等が、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき、平成29年4月1日31年3月31日までの間に、特定経営力向上設備等(生産等設備を構成する機械装置、工具、器具備品、建物附属設備及びソフトウエアで、経営力向上設備等に該当するもののうち、一定規模以上のもの)の取得等をして、その特定経営力向上設備等を国内にあるその法人の指定事業の用に供した場合には、即時償却又は取得価額の7%(特定中小企業者等は10%)の税額控除との選択適用ができます。ただし、税額控除の額は当期の法人税額の20%を上限とし、控除限度超過額は1年間の繰越しができます。
(3)イメージ
 次のようになります(セルフレジを新規取得した場合の例)。

【導入例】
経営力を向上させる設備としてセルフレジ(複数台合計で約1,500万円)を新規取得した場合
即時償却または税額控除が選択適用!
取得価額1,500万円全額を損金算入(即時償却)、または約150万円(取得価額の10%)を法人税から控除できます。
資本金3,000万円超1億円以下の法人の場合は、約105万円(取得価額の7%)

(4)対象設備の拡充
 平成29年度から対象設備が拡充されました(表1・2参照)。
(5)認定手続き
 適用を受ける中小企業者等は、人材育成、コスト管理等のマネジメントの向上や設備投資など、自社の経営力を向上させるための実施計画である「経営力向上計画」を事業分野別の担当窓口(経済産業局など)へ申請し、認定を受ける必要があります。
(6)認定がない場合
 中小企業等経営強化法の認定がなくても、機械装置等を導入した場合は、従来どおり中小企業投資促進税制により、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除の洗濯適用(資本金3千万円超の法人には税額控除の適用なし)ができます。
2 固定資産税の特例
 中小企業者等が、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づき一定の設備を新規取得した場合、固定資産税が3年間にわたって2分の1に半減されます(表3参照)。
3 地域未来投資促進税制の創設
 地域の強み(技術・観光資源・農水産品等)を活かして地域活性化に貢献する先進的な事業について、工場・店舗や機械等を導入した場合、特別償却又は税額控除がが選択適用できます(表4参照)。

-表1--------------
●今までは…対象が機械装置等に限定
(例)金属加工機械・NC加工機

●ここが変わった!サービス業でも使いやすいよう、器具備品や建物附属設備などが対象に追加されました。
(例)器具備品…冷蔵庫陳列棚・業務用冷蔵庫・ル-ムエアコン・セルフレジ
建物附属設備…空調設備・蓄電池設備

-表2--------------
生産性向上設備(A類型・工業会証明)
(要件)
生産日が旧モデル比年平均1%以上向上する設備
(対象設備)
◆機械装置(160万円以上/発売から10年以内)
◆測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内)
◆器具備品(30万円以上/6年以内)
◆建物附属設備(60万円以上/14年以内)
◆ソフトウェア(情報収集機能及び分析・指示機能を有するもの)(70万円以上/5年以内)

収益力強化設備(B類型・経産局確認)
(要件)
投資利益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備
(対象設備)
◆機械装置(160万円以上)
◆工具(30万円以上)
◆器具備品(30万円以上)
◆建物附属設備(60万円以上)
◆ソフトウェア(70万円以上)

-表3--------------
固定資産税の特例(工業会証明)
(要件)
生産性が旧モデル比年平均1%以上向上する設備
(対象設備)
◆機械装置(160万円以上/発売から10年以内)
◆測定工具及び検査工具(30万円以上/5年以内)
◆器具備品(30万円以上/6年以内)
◆建物附属設備(償却資産として課税されるもの)(60万円以上/14年以内)
平成29年度税制改正により対象に追加された設備(測定工具及び検査工具・器具備品・建物附属設備)については、対象地域・対象業種が一部限定されます。業種が限定される地域は、最低賃金が全国平均以上の7都府県(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪)となります。上記以外の40道県においては全業種が対象です。機械装置については、引き続き全国・全業種で対象になります。

-表4--------------
適用期間:平成29年7月31日~平成31年3月31日
(対象設備) 【特別償却】【税額控除】
機械装置   40%    4%
器具備品   40%    4%
建物・附属
設備・構築物 20%    2%
総投資額2,000万円以上が対象。支援対象は設備合計額のうち100億円まで。

       

所長 堀 裕彦 中小企業庁“ちいさな企業

税務・会計の無料相談はこちら

※どんな些細なことでもご相談ください。

  • 事務所便り
  • 雑学ノート
  • 講演・執筆活動
  • セミナー案内
  • 所長のフォトブログ
  • Facebook
中小企業庁 経営革新等支援機関 “経営サポート
中小企業庁 “ちいさな企業”未来会議サポーター をしております。
第1期 登録アドバイザー